今年の春期に引き続き、秋期も10月から診断士講座の講師として登壇します。下記は6月に投稿したものの再掲です。

KEC様は関西では学習塾として有名な大手教育企業ですが、近年はビジネススクールやコンサルティングなど、社会人や企業向けの教育事業も積極的に展開されています。今回は、中小企業診断士の1次試験対策講座のうち「企業経営理論」を全10回、約1ケ月に渡って担当します。企業経営理論は、診断士試験すべての基盤となる最重要科目で、経営戦略論、組織論、マーケティングの3つの主領域で構成されています。

経営学に定説・通説はない
経営学は他の学問と比べて大きな違いが2つあります。1つ目は、経営学は成立してまだ100年ほどです。物理学がギリシャ時代からとすれば2500年なので、経営学はとても新しい学問だと言えます。2つ目は経営学にはいわゆる定説や通説がありません。数学の公式や、法律学の条文・判例のように、物事の確固たる判断基準がないのです。つまり、経営学で「こうすれば成功する」というものはありません。世の中にあるビジネス書は「こうすれば成功する」という風潮で書いていますが、それはその企業や経営者が現時点から過去の成功体験を振り返った事例でしかありません。あるいは、ある一面的な切り口で成功を語っているだけにすぎません。経営学では様々な理論やフレームワークがありますが、それらは企業や組織を映し出すいくつかの切り口にすぎません。なので、企業経営理論を勉強することは、様々な切り口やケースを知るのであって、「中小企業診断士やMBAを取ったら経営が上手くいく」とは到底言えないものです。

しかし、中小企業診断士を勉強しても経営に役に立たないわけではありません。定説や通説はありませんが、企業や組織を映し出すいくつかの切り口を学ぶことは、自分ごとで考える土台になります。リアルな経営をしていくときに、その場その場で考え判断する必要がありますが、その考え判断する土台を提供してくれるものが経営学の学びだと思います。経営学は、すぐに白黒つけたい人や、知識を得たいだけの人には、グレーゾーンや例外の多い学問ですが、それだけ自分で考えてよい余白を持っていて面白いとも言えます。

私自身が講義をする側ではありますが、私自身もこの科目を担当するたびに、経営学全般を自分ごとで考え学ぶとても良い機会になっています。受講者のみなさんと長いおつきあいになりますが、ぜひ一緒に学習しましょう。
KEC様の中小企業診断士講座についてはこちらをご覧ください。
http://www.kec.ne.jp/shindanshi/