毎年恒例の京都大学サマーデザインスクールも今回で5回目となりました。今回は京都大学の森先生と奥本先生、元木先生と一緒にテーマ企画を行い、3日間のワークショップに取り組みました。メンバーは、企画した実施者側が4名、参加者が5名(うち大学生が2名、社会人が3名)です。
テーマ内容について簡単にご紹介します。近年では、情報機器の低廉化によってワークショップに情報機器を導入しやすくなり、情報技術の発展によって人の活動を記録しやすくなってきています。これにより、ワークショップ中の作業の向上や複雑な影響関係の解明を促し、ワークショップの質の向上とデザイン方法論を変化させる可能性があります。そこで今回は、ワークショップ形式でワークショップ・デザインにおける情報技術を学ぶことをテーマにしました。参加者と一緒にワークショップを支援する情報技術について、タブレット端末を用いたノート記録やアイディアの可視化、センシング・分析などの現在利用されているシステムに触れながら話し合いました。また、実際に、ウェアラブルカメラをつけながら観察メモを取り振り返る試みや、位置情報をセンシングしてメンバーの移動の様子を分析するなど、アクティビティを観察しながら体験してもらいました。
私の反省点
私もファシリテーターの一人として、参与観察の仕方やメモの取り方をレクチャーしました。その後、他のワークショップの観察へ出掛けてもらいました。帰ってきたひとりの参加者から、「他のチームを観察したけどなかなか入リ込めなくて、内容がわからず記述できなかった」との話がありました。なかなか短時間でレクチャーしきれなかったことに反省です。本当は「なぜ中に入れなかったのか(入れないと感じことそのもの)」をありのままに自分自身の体験として記述してほしかったのです。もしくは、内容が不明でも「メンバーのやりとり」をみることもできます。たとえば、「Aさんが◯◯について意見を述べた→他の全員がAさんの方をみて頷く(賛同していることがわかる)→しばらく沈黙がある→ファシリテーターが「別の観点から考えられない?」と言う→Bさんが◯◯について違う意見をいう・・・・」などは、会話の内容がわからなくても「なぜファシリテーターがそこだけ介入したのか?」「なぜ賛同とわかったのか?」「沈黙の意味は?その間にメンバーは何をしていたか?」などいくつも問いを立てることができます。「見て学ぶ」のは簡単ではないことを改めて感じました。と同時に、見て学ぶことをいかに学んでもらうかを今後の私の課題にしたいと思います。
ワークショップのお祭り的なイベント性は、昨年や一昨年と比較すると今回は低かった気がします。参加者にとってモヤモヤが多いワークショップになったはずです。しかし、その分、ワークショップと情報技術の関係について終了後も考える機会になれば嬉しいです。協働くださった皆様、サマーデザインスクールの関係者の皆様、ありがとうございました。
京都大学サマーデザインスクール2015の詳細はこちらをご覧ください。
http://www.design.kyoto-u.ac.jp/sds2015/index.html