1日間の模擬面接講座に講師(面接官役)として参加しました。知人のカウンセラーであるKさんのご紹介でご縁ができました。専門学校でこれから就職活動をしていく学生さんたちは、半期にわたり事前しっかりと自己分析やマナーは学んできており、今回はそれをやってみる実戦段階になります。その授業はKさんが担当されており、学生さんたちと密なコミュニケーションをとりながら親身にサポートされています。面接官役を担当して感じたのはしっかりと応対の基礎ができていることです。さすがKさんのご指導です。数十名の学生さんと面接という場で会話しました。そこで感じことを学生さんへのメッセージというかたちで書きたいと思います。
面接はプレゼンではない
面接は自分をプレゼンテーションする場と言われますが、私はそうではないと思います。社会人ならまだしも学生さんにプレゼンテーションと言うと、自分の良さを伝えよう、ちゃんとしなければ、と過剰な意識が働きすぎます。中には準備した自己分析を棒読みしている学生もいました。言葉に詰まると上の方へ視線をやって「え〜」と思い出そうとするのですぐ分かります。また、準備したことはスラスラ言えるのに、質疑応答にはめっぽう弱い学生もいます。
面接官が聞きたいのはとてもシンプルな2点しかありません。「なんでうちなの?(志望動機)」と「どんな人なの?(自己紹介)」の2点です。本当に自己分析できていれば、何を聞かれようが、1分だろうが5分だろうが話せるはずです(ぜひ自己分析は就職が決まるまでずっと探求し続けましょう)。あと、多少言葉や助詞を間違っても気にしすぎることはありません。
そして、学生が話している間、面接官は何を考えていると思いますか?学生さんは査定やチェックされていると思いがちです。実際は、面接官は「うちの会社で活躍できるかな?うちの風土に馴染めるかな?」と学生さんに心の中では寄り添いながら聞いています。なので、自分らしくないことやカッコつけようとしない方がいいです。自分に嘘をついて入社するとずっとそれを演じ続けなければなりません。プレゼンテーションなんて考えず、「ありのままの自分」で面接官と「自然な会話」ができるだけでいいのです。
就職するだけではない
就職活動は、希望企業に就職することが目的と思われがちですが、決してそれだけではありません。実は、学生から社会人へと社会的立場がかわる「転機」でもあるのです。こっちの方が重要です。たとえ希望する業種や職種でなくても、よほど嫌いや仕事やブラック企業でなければ、社会人への一歩を踏み出すことの方が人生にとって一大イベントです。やってみてからわかる情報や知識の方が圧倒的に多いですし、社会人になってからは運命の分かれ道となる転機は自分次第でいくらでも作れます。就職活動は単なるごく小さな部分、まだまだ人生は続きます!
学生のみなさんは、就職が決まる頃にはだんだん面接が面白くなってくるはずです。社会人になったら周りが時間を使って自分のために「何がしたい?」などと寄り添って聞いてくれる場面はめったにないですよ。ぜひ「自己探求の会話の旅」を楽しんでください。